女性の「更年期障害」にサウナがいいって本当ですか?

女性ホルモンのバランス変化によって、心身にさまざまな不調が現れる「更年期障害」。のぼせ、発汗、イライラ、抑うつ気分、筋肉痛、食欲不振など……症状や時期は、個人差がありますが、40代後半〜50代にかけて実感する人が多いそうです。そんな更年期障害に「サウナがいい」という声も。そこで、女性の更年期障害とサウナ、どのような関係があるのか調べてみました。
- 目次
1. そもそも、更年期障害ってなに?なぜ起こる?
女性更年期障害の原因・症状

更年期障害とは、女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少によって心身のバランスが崩れること。おおよそ40代後半から50代にかけて訪れ、閉経前後の10年間が目安とされています。
症状は、のぼせやホットフラッシュ、発汗、イライラ、不眠、冷え、動悸、疲労感、気分の落ち込み、筋肉痛など、多岐にわたります。
個人差が大きく、症状の出方や強さは人それぞれです。
エストロゲン(女性ホルモン)とは?

エストロゲンとは、「女性らしさを保つホルモン」とも呼ばれ、骨密度の維持や血管の健康、肌や髪のツヤを保つなど、体のさまざまな機能を支えるホルモンです。
エストロゲンは、自律神経・血流・精神安定・睡眠の調整など、全身に関わります。急激に減ることで、それらのバランスが崩れ、更年期障害の症状を感じやすくなってしまうのです。
なぜ、女性ホルモンが減るの?

エストロゲンの分泌は20〜30代がピークとされ、その後は加齢とともにゆるやかに減少していきます。そして閉経が近づく40代後半〜50代にかけて、急激に分泌が低下するのが特徴です。
これは、卵巣の機能が年齢とともに衰えていくため。卵巣がエストロゲンを作る力を失っていくことで、ホルモンバランスが大きく崩れ、更年期障害が現れやすくなります。
とはいえ、エストロゲン減少の影響をより大きくする要因も存在します。たとえば、
- ストレス
- 不規則な生活や食事
- 運動不足
- 睡眠不足
こうした生活習慣や心身のストレスは、自律神経の乱れやホルモンバランスの不調に拍車をかけ、症状が悪化しやすくなるのです。
つまり、加齢による自然な変化であっても、日々の生活習慣やセルフケアのあり方で、影響の出方は変えられるとも言えます。
女性更年期障害、ほっておくとどうなる?

更年期障害は「加齢によるものだから仕方ない」と放置してしまいがちですが、実はそのままにしておくことで生活習慣病や心身の病気リスクが高まることがわかっています。
たとえば、エストロゲンの減少により骨密度の低下が進み、骨粗しょう症のリスクが上昇。さらに、血管の弾力性が失われやすくなり、動脈硬化や高血圧、脂質異常症などの原因になることも。
更年期特有の気分の落ち込みや不眠、イライラなどを放置することで、うつ病や不安障害などのメンタル疾患に発展するケースもあります。
- ・骨粗しょう症・骨折リスクの増大
- ・高血圧・動脈硬化・心血管疾患リスクの上昇
- ・うつ病や不安障害など、メンタル不調の悪化
- ・生活習慣病(糖尿病・脂質異常症)リスク増大
こういった健康リスクを未然に防ぐためにも、適切な対処やセルフケアが大切です。サウナ浴はその一つの手段として、体調管理やメンタルケアのヒントになるかもしれません。
2.女性の更年期障害にサウナがいい理由
「更年期障害のつらい症状、少しでも軽くしたい!」そう感じている方は多いのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、サウナです。
更年期障害の対策としてよく挙げられるのは、
- 規則正しい生活
- バランスのとれた食事
- 適度な運動
- 良質な睡眠
- ストレスの解消
です。
これらに加えて「サウナ」を活用することで、より良いセルフケアになると言われています。
具体的に、サウナがどのように女性の更年期障害に作用するのか、くわしく解説します。
① 自律神経のバランスが整い、心身がリラックス

更年期障害の症状の多くは、自律神経の乱れが影響していると言われています。エストロゲンの急激な減少によって、自律神経のバランスが崩れやすくなり、ホットフラッシュや動悸、イライラ、不眠といった症状につながるのです。
サウナの「温冷交代浴」は、交感神経と副交感神経を刺激し、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。さらに、サウナ後は副交感神経が優位になりやすいため、リラックス感やストレスの軽減につながります。
② 幸福ホルモンの分泌で、イライラや不安感をやわらぐ

サウナ後には、「β-エンドルフィン」や「オキシトシン」といった幸福ホルモンの分泌が促されることがわかっています。これにより、気分がスッキリし、イライラや不安感がやわらぐ効果が期待できます。
「最近ちょっと気分が落ち込む」「なんとなく不安」というときにサウナに入ると、心が軽くなったと感じるのはこのためかもしれません。
③ 血行促進で、冷えやむくみ、倦怠感を軽減

サウナに入ることで全身の血行が促進され、冷えやむくみの改善、筋肉の緊張緩和につながります。とくに末端冷え性や倦怠感に悩む方には嬉しい効果ですよね。
また、血流がよくなることで、ホルモンバランスを調整する脳の「視床下部」や内臓への栄養供給が活発になるため、心身のコンディションが向上するとも言われています。
④ 深部体温コントロールで、不眠が改善しやすい

「サウナに入ると、ぐっすり眠れる」とよく言われますが、これにも理由があります。
サウナに入ると、深部体温(身体の内側の温度)が一時的に上昇します。その後、外気浴や休憩で体温がゆっくり下がることで、眠気を誘う効果が得られるのです。これにより、更年期に多い「寝つきの悪さ」や「夜中に目が覚める」といった不眠症状の改善が期待できます。
3.「更年期かも?」と感じたら試したいサウナの入り方
更年期の症状は、人によって出方もつらさもさまざま。だからこそ、症状に合わせたサウナの入り方がおすすめです。
・ストレス・イライラが続くときは「低温サウナ」

交感神経が過敏になっているときは、高温サウナよりもミストサウナやスチームサウナなどの低温サウナがおすすめ。 15〜20分ほど、じっくり身体を温めることで、副交感神経が優位になり、緊張がやわらぎます。
サウナ後は無理に水風呂に入らず、常温のシャワーやぬるめのお湯で軽く流す程度で。湯冷めしないよう、休憩をしっかりとりましょう。
・「眠れない」「夜中に目が覚める」なら「就寝前サウナ」

不眠症状が気になる方は、就寝2時間前を目安にサウナに入ってみましょう。無理に熱いサウナに入らず、低温サウナや岩盤浴がおすすめです。
- ・【就寝前】:就寝の1.5〜2時間前に低温サウナ(+水風呂はなし)
- ・【夕方~夜】:サウナ→水風呂→外気浴のセットを2~3回。最後の休憩はたっぷり時間を取ると、副交感神経がしっかり働いて、夜の入眠がスムーズに。
「活力が湧かない」なら自律神経を刺激

日中の元気がない・やる気が出ないときは、サウナ→水風呂→外気浴を2〜3セット繰り返す入り方がおすすめです。温冷交代浴は、自律神経に適度な刺激を与え、バランスをととのえる効果が期待できます。
ただし、無理は禁物。体調に応じてセット数や温度、時間を調整しましょう。
・注意事項:無理は禁物!体調に合わせて。医師への相談も
更年期は体調が変化しやすい時期。以下のような入り方は避けましょう。
- 熱すぎるサウナ・冷たすぎる水風呂など極端な温冷交代浴
- 長時間のサウナ滞在
- 体調がすぐれないときの入浴
心臓や血圧への負担を避けるため、必ず自分の身体の声を聞きながらサウナに入りましょう。
また、持病がある方や治療中の方は、必ずかかりつけ医に相談のうえ無理のない範囲で楽しんでください。
4.サウナは更年期ケアの「選択肢のひとつ」

もちろん、サウナだけで更年期障害の全ての不調が解消するわけではありません。ただ、サウナは自律神経・ホルモンバランス・血流・睡眠の質と、女性の更年期に悩みがちなポイントを幅広く支える心強い味方です。
無理のない範囲で、自分に合ったペースでサウナを取り入れることで、更年期の不調と上手に付き合うヒントになるかもしれません!
参考文献
・命の母,『更年期』の症状・原因・対処法 https://www.kobayashi.co.jp/brand/inochinohaha/kounenki/
・サウナと更年期障害の関係性とは?ホルモンバランスへの効果と心身のケア方法を紹介 https://my-sauna.jp/magazine/menopause?utm_source=chatgpt.com
・OurAge,更年期の入浴やサウナの注意点とは? マイルドな「ミストサウナ」がおすすめ/入浴法の豆知識 https://ourage.jp/karada_genki/coldness/310559/?utm_source=chatgpt.com